2014年11月4日火曜日

第109回支援センターセミナー開催のお知らせ

第109回支援センターセミナーを、下記の通り開催致します。


 ■ 演 題: ヒトゲノム研究を通じて学んだこと

 ■ 演 者: 前田 士郎(琉球大学大学院医学研究科先進ゲノム検査医学講座教授)

 ■ 日 時: 平成26年12月1日(月)17:40~

 ■ 場 所: 基礎研究棟2階 教職員ロビー


<講演要旨>
ヒトゲノム解析技術の進歩はめざましく、現在全ゲノム領域を網羅した生活習慣病の関連遺伝子探索(ゲノムワイド関連[相関]と呼ばれています)が可能となっています。この手法により、それまで不可能といわれてきた生活習慣病等、ありふれた病気(common disease)の、なりやすさに関わる遺伝子領域(疾患感受性遺伝子領域)の同定が次から次へと達成されるようになり、この分野に大きなブレイクスルーがもたらされました。しかしながら、私がゲノム研究分野に飛び込んだ2000年当時は、まだ発展途上で、壮大な計画に巻き込まれつつも心のどこかで、「これは、やっぱり無理なのではないか」といつも不安に苛まれていました。このような不安を一掃したのは、強力なリーダーシップで決して前進することをあきらめない、プロジェクトリーダー中村祐輔先生(当時)の強い信念ではなかったかと思います。最初の成果が出るまでに私たちの場合8年の年月が必要でした。長い苦しい時でしたが、今思えば、私を最も成長させてくれた時期では無かったかと思います。もちろん私一人では何も出来なかった訳で、滋賀医大を含め国内外の多くの共同研究者のご協力を得て仕事をしてきました。様々な分野との連携を大切にして、決してあきらめることなく、目標に突き進む覚悟をもてば、いつの日か報われるのではないかという気がしています。現在は沖縄でゲノム研究拠点を構築するべく奔走しておりますが、まだまだ苦労が絶えません。今回は私の研究生活を通じて感じてきたことを、私見を交えて(私見のみかもしれません)お話ししたいと思います。


◆本セミナーは、研究医養成検討ワーキンググループ・実験実習支援センターの共催で開催いたします。

◆本セミナーは、大学院博士課程の講義として認定されています。


※「第109回支援センターセミナー開催のお知らせ」より転載。

第108回支援センターセミナー開催のお知らせ

第108回支援センターセミナーを、下記の通り開催致します。


 ■ 演 題: 脂質シグナリングとの歩みを通して:
        スフィンゴシン1リン酸とエキソソーム成熟調節

 ■ 演 者: 中村 俊一(神戸大学医学研究科生化学分野教授)

 ■ 日 時: 平成26年11月27日(木)17:40〜

 ■ 場 所: 基礎研究棟2階 教職員ロビー


<講演要旨>
 私が医学生の頃、細胞膜は半透膜で出来ていて、透析膜のような役割を果たし
ていると考えられていました。その頃学部学生の私は毎日暇を持て余し、クラブ
活動やバイトに明け暮れる「遊び学生」でした。そんな折、生化学教室で実験の
手伝いをしていた「優等生先輩」の誘いで、実験室を見学することになりました。
それがきっかけで、クラブ活動感覚で研究室に出入りするうちに、恩師の先生と
出会いました。その頃、恩師の研究室では「細胞膜の構成成分の脂質が細胞外の
環境変化に応答して代謝され、その代謝産物がセカンド・メッセンジャーとして
働き、多岐にわたる生命現象を調節している」とする大胆な仮説を証明する為に
教室の構成員が一丸となって、昼夜を問わず研究に励んでいました。そんな先生
方の姿を拝見するうちに、私も気がつくと、その一員になっていました。それか
ら30年間、脂質シグナリングを追い求め、あの時の興奮が忘れられず今も研究
を続けています。
 本日はスフィンゴ脂質代謝産物のスフィンゴシン1リン酸によるエキソソーム
成熟調節に関する最新の知見をご紹介したいと思います。エキソソームは免疫に
於ける抗原提示や、癌の悪性化に関する微小環境形成、神経変性疾患の病巣伝播
等に関して新たな細胞間情報交換の手段として注目されています。短い時間です
が、本日は少しでも皆様と「情報交換」が出来れば光栄です。


◆本セミナーは、研究医養成検討ワーキンググループ・実験実習支援センターの
 共催で開催いたします。

◆本セミナーは、大学院博士課程の講義として認定されています。




※「第108回支援センターセミナー開催のお知らせ」より転載。