2016年1月28日木曜日

第113回実験実習支援センターセミナー開催のお知らせ

第113回実験実習支援センターセミナーを、下記の通り開催致します。


                記


 ■ 演 題: アルツハイマー病における2つの異なるγ-secretase活性変化が
       CSFのAβ42減少と脳内Aβ蓄積を引き起こすか?

 ■ 演 者: 角田 伸人(同志社大学生命医科学部医生命システム学科助教) 

 ■ 日 時: 平成28年2月4日(木)13:30~14:30

 ■ 場 所: 基礎研究棟2階 教職員ロビー


<講演要旨>
 これまでの神経病理学的研究により、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)
発症の10年以上前から脳内ではアミロイドβタンパク質(Amyloid β-protein; Aβ)の蓄積が起こり始めていることが明らかにされている。細胞内で産生されるAβはおよそ40アミノ酸残基のタンパク質であるが、その中でも特に42アミノ酸残基のAβ42が脳内に蓄積している。このことから、多くの研究者はAβ42の蓄積がAD発症の原因であると考えている。Aβ42が脳内に蓄積する一方、脳脊髄液(CSF)のAβ42が減少することもこれまでの研究で明らかとされている。そのため、CSFのAβ42はADバイオマーカーの一つとして用いられている。これらのことから、「Aβ42の脳内への蓄積は、CSFのAβ42低下を引き起こす」という考えが広まっている。しかし本当にそうであるのか脳内AβとAβ産生酵素の活性の両面からあらためて検証した。
 Aβはg-secretaseの切断により産生されるが、細胞内には局在が異なるg-secretaseが存在することが知られている。ADではそれぞれのg-secretase活性が変化して、CSFのAβ42の減少とAβ42の脳内蓄積を引き起こしている可能性があり、CSFと脳実質におけるAβ42の変動は、個別の現象ではないかと考えられるため、ご紹介させていただく。

◆本セミナーは、分子神経科学研究センター・実験実習支援センターの共催で開催いたします。

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 本セミナーは、大学院博士課程の講義として認定されています。
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※「第113回実験実習支援センターセミナー開催のお知らせ」より転載。
 

2016年1月22日金曜日

第20回コースミーティングを開催しました。





「過去の研究経験と現在の研究~転写因子E2Aに対するinducible knockdown vectorの作製~」

①過去の研究
②転写因子E2Aに対するinducible knockdown vectorの作製

①滋賀医科大学に編入する以前に、長岡技術科学大学大学院の神経機能工学研究室にて、神経細胞のシナプス形成に関する研究を行っていた。研究では、神経細胞のシナプス部位に研究対象のタンパク質Xが発現しているか確かめるために、シナプトソームを単離した。シナプトソームでの目的タンパク質の発現を確認できたため、次にマウス胎児の神経細胞の初代培養を行い、免疫蛍光染色にてシナプス部位に発現している事を確認した。また、初代培養の神経細胞に目的タンパク質の発現プラスミドを導入し、シナプス形成に関与する表現型を見出した。これらの経験を、当研究室でも生かしたいと考えている。

②当研究室のこれまでの研究で、転写因子であるE2AT細胞受容体遺伝子の転写調節領域に結合し、p300/CBPをリクルートしてヒストンアセチル化を上昇させ、組換えを誘導することを明らかにした。また、E2Aは染色体ルーピングによっても組換えを誘導することを明らかにしていた。今回は、E2Aに対するmicroRNAを用いて、ドキシサイクリン誘導性にE2Aをノックダウンできるベクターシステムの作製を行い、そのベクターのノックダウン効率を検討した。このベクターを用いてE2Aの更なる機能解明に近づきたい。



                      有田 和旦【第3学年】