2017年5月8日月曜日

第120回実験実習支援センターセミナー開催のお知らせ

第120回実験実習支援センターセミナーを、下記の通り開催致します。
 
               記

 ■ 演 題: クロロフィルの化学修飾とその分子集合体による機能発現
      
 ■ 演 者: 宮武 智弘(龍谷大学理工学部物質化学科教授)

 ■ 日 時: 平成29年5月12日(金)17:00~

 ■ 場 所: 基礎研究棟2階 教職員ロビー


<講演要旨>
 クロロフィルは光合成において光の捕集とエネルギー変換に関わる重要な
成分であり、その分子の構造はテトラピロールと呼ばれる環状の骨格の中心
にマグネシウムイオンが配位したものである(図1左)。環の周辺にはいく
つかの置換基が配置され、これらの置換基の違いはクロロフィルの光吸収特
性に影響を与えており、光合成生物はその生育環境に適した構造のクロロ
フィルを利用している。一般に光合成器官では、たくさんのクロロフィル分
子がタンパク質の中で機能発現に適した位置に並べられている。こうして光
合成生物はクロロフィルを並べることで分子間で効率の良いエネルギー(励
起エネルギー)移動および電子移動を可能とし、光捕集・エネルギー変換を
実現している。
 ここでは、生体より抽出したクロロフィルを有機化学の手法を用いて改変
した“修飾クロロフィル”(図1右)を合成し、それを組織化させた分子集合
体(図2)を創製する。クロロフィルのテトラピロール骨格およびその周辺
の置換基を変換することにより、その光吸収特性や分子集合体の構造を変化
させ、クロロフィルの新たな機能を見出すことを目的としている。これまで
の研究から、水に不溶であるクロロフィルに親水性の置換基を導入すること
で、クロロフィルの分子集合体を水中で安定に形成できることを見出した。
また、脂質二分子膜中でクロロフィル類を集積化させることによって特異的
な発光特性を発現させるなど、様々な媒体中で“修飾クロロフィル”が興味深
い物性、機能をもたらすことが明らかとなってきた。

図1、図2は、以下をご参照ください。
http://wwwcrl.shiga-med.ac.jp/home/seminar/center_sem/no120.html

◆本セミナーは、生命科学講座 化学・実験実習支援センターの共催で開催
 いたします。

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 本セミナーは、大学院博士課程「医学総合特論」の認定セミナーです。
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※「第120回実験実習支援センターセミナー開催のお知らせ」より転載